ほくろとは
ほくろは医学上、「色素性母斑(しきそせいぼはん)」と呼ばれています。多くのほくろは後天的なもので、成長過程で母斑細胞が皮膚または皮膚の下で増殖することで、作り出されています
ほくろの原因
ほくろは色素を作る色素細胞(メラノサイト)の良性腫瘍です。
原因の多くが、紫外線によるメラノサイトの生成です。メラニン色素はメラノサイトで作られます。確かにほくろはシミと似ており、メラニン色素の働きによって、黒色に見える状態です。しかし、ほくろはメラニン色素の沈着だけではなく、メラニン色素とメラニンを産生するメラノサイトが、一か所に増殖した状態を指します。
そのため、シミよりも色が濃くなったり、盛り上がったりすることが多いのです。 また、紫外線以外の刺激が原因で、細胞が傷つきホクロが生まれるケースも存在しています。
気になるほくろ
疾患として気にする必要はありません。しかし、以下の問題が起きた際は、治療を推奨します。
- まぶたに当たって視界に入る
- ひげ剃りをするときにほくろが引っかかる
- 服の着脱時にほくろが引っかかる
- 洗顔時に爪があたって、出血を起こしたことがある
- 悪性黒色腫の可能性がある(色みや境界が不均一、など)
ほくろと似ている疾患
扁平母斑
茶褐色のシミに似たアザです。
全身に多発する場合は神経線維腫症I型(レックリングハウゼン病, NF1)という全身疾患の一症状として出ている場合もしばしばあり、注意が必要です
神経線維腫
神経線維腫症I型(レックリングハウゼン病、NF1)において多発する腫瘍です。
ミーシャー(Miescher)母斑と見極めることが重要です。
※ミーシャー(Miescher)母斑とは、顔面や首、毛髪部に発生しやすいほくろです。ドーム状に膨らんでいてつるつるしています。毛が生えていることもあり、色は薄い茶色や黒色などが多いです。
軟性線維腫(スキンタッグ・アクロコルドン)
首やワキ、鼠径部などによく見られるいぼです。加齢や衣類の摩擦が原因で発症します。感染性はないので、発生しても心配する必要はありません。
老人性疣贅
中高年以降の方に見られるいぼです。紫外線と加齢が原因で発生し、固くて盛り上がった茶色い見た目が特徴です。顔やこめかみ、首周りなど、紫外線にさらされやすい箇所に多く見られます。
基底細胞がん
皮膚がんの中でも、最も多く見られるタイプです。一見、ほくろと似ていて分かりにくいため、皮膚生検(病変を採取して、検査すること)で見分けることが必要です。手術で完全切除する必要があり、場合によっては提携先の総合病院・大学病院にて、手術を受けさせていただくこともあります。
悪性黒色腫(メラノーマ)
リンパ節に転移しやすく、生死にかかわる皮膚がんです。足の裏に発生することが多く、見つけ次第迅速に切除する必要があります。
もし発見した際は、速やかに大学病院やがんセンターなどを紹介します。
注意すべきほくろとは
以下に当てはまるほくろを見つけましたら、医師へ相談することを推奨します。可能性は低いのですが、ガンや悪性ホクロの恐れがあります。
- ホクロが急に大きくなって盛り上がってきた
- 色が変わってきた
- 周りがでこぼこしている
- 血が出た
また、足の裏のような、紫外線を浴びないような部位にできたほくろも、念のため組織検査(組織検査は当院ではなく、専門医療機関にて行っております)を受けた方が良いです。ただし、組織検査では病変の組織が必要なので、メスで一部を切除します。
ほくろ除去
医師がほくろを確認し、治療方法を決定いたします。
外科的手術(切除法)
切除法で除去した場合、ほくろは1回で取れますが、白い線状の傷跡が残ります。局所麻酔をしたあとに、ほくろとその周辺を切除して縫合します。
YAGレーザー
YAGレーザーは、膨らみの目立つほくろの除去に適している施術法です。レーザーで、ほくろに対して均一に蒸散させるため、治療後の赤みも少なく済むうえに、傷の治りも早いです。
施術後の副作用としては赤み、傷、色素沈着などがあります。
費用について
大きさ | 費用 |
---|---|
3mm未満 | 9,900円 |
3mm以上8mm未満 | 15,400円 |
8mm以上 | 19,800円 |
よくあるQ&A
ほくろは完全に消えますか?
全く見えなくなるまで薄くさせること、傷跡が完全になくなることはありません。予めご了承ください。
入浴しても大丈夫でしょうか?
切除法を行った方は、24時間後以降可能です。洗った後は、当院が処方する化膿止め軟膏をじゅくつきがとれるまで(10日間程度)塗り続けてください。
レーザー治療を行ったかたは、茶色の保護テープを1週間貼り続けてください。取れた場合は適宜自己処置にて貼り直してください。
切除した患部は、青くなりませんか?
内出血で若干青くなる場合があります。
傷の経過はどんな感じですか?
しばらく赤みが続くこともありますが、通常は数週間で改善されます。
顔に施術を受けた場合は、UVカットクリームでお肌を直射日光から守ってください。
抜糸はいつ頃行いますか?
施術後から7日目前後に行います。
切除した箇所の傷は消えますか?
傷はできるだけ目立たないように、細心の注意を払って切除しています。傷は半年ほどかけて目立ちにくくなっていきますが、完全に消えることはありません。
1回の施術で消えますか?
浅いホクロは1回の施術だけで消えることが多いです。
深いホクロの場合は、レーザー治療を何度も受ける可能性が高いです。施術後の傷を最小限に抑えるため、ギリギリの出力でレーザー照射します。
また、ホクロの根が大きいと、施術後の傷の中に黒い点(ほくろ)が出ることもあります。この場合でも再度、レーザーで除去します。照射の間隔は、最低1ヶ月ほど開けてください。