オルソケラトロジーについて
角膜の形状を正しく矯正するカーブでデザインされた高酸素透過性コンタクトレンズを就寝中に装用し、日中を矯正された裸眼で過ごすことができる近視矯正方法です。
角膜形状による近視や乱視がある場合、オルソケラトロジーのレンズを装用することで角膜の形状が変化し、レンズを外すと近視や乱視が矯正され、裸眼で網膜に焦点が合います。
アメリカでは30年以上前から研究や処方が行われており、現在はアメリカ・ヨーロッパ・アジアの多くの国で安全性と有効性が認められて処方が行われており、日本でも2009年に厚生労働省の承認を受けています。
オルソケラトロジーの特徴
日中は裸眼で問題なく過ごせるため、激しい運動、マリンスポーツも心置きなく熱中できます。手術ではないため、レンズの使用を中止すると角膜が元の状態に戻ります。
外科手術に抵抗がある方にも矯正が可能です。
取り扱いやケアはハードコンタクトレンズとほぼ同じです。
対象となるのは基本的に軽度から中等度までの近視であり、適応検査で判断されます。
就寝中に矯正を行いますので、十分な効果を得るためには最低6時間以上の睡眠が必要です。
オルソケラトロジー治療に向いている方・不向きな方
事前に適応検査を受けて適応があることを確認する必要があります。
下記の不向きな方に該当する場合も、眼科専門医の総合的な判断によりオルソケラトロジーの治療が可能になる場合もあります。
向いている方
- 軽度から中等度までの近視の方
- 煩わしい眼鏡やコンタクトレンズから解放されたい方
- レーシックやI C Lなどの手術に抵抗のある方
- 日中運動をする方、点眼薬を使用する機会が多い方
不向きな方
- 重度なドライアイなど、医師が不適と判断する疾患がある方
- 目の手術を受けたことがある方
- 妊娠中・授乳中、または妊娠の予定がある方
- 適切にレンズを使用できない方
- 定期検査に通えない方
- 常に乾燥した環境にいる方
- 職業上、常に適正な視力が必要な方
- 視力の変化があった際に業務の中止ができない方
オルソケラトロジーをはじめるにあたっての注意事項
角膜の自然な状態を調べる必要がありますので、適応検査前の2~4週間はコンタクトレンズの使用を休んでいただく必要があります。装用時の異物感が数日から数週間続くことがあります。はじめは短時間の効果しか見込めませんが、次第に効果が長く続くようになります。安定するまでには、数日~数週間かかります。
レンズによる矯正効果は角膜の中心部分に現れます。暗い場所で瞳孔が大きく開くと矯正されていない部分から光が入り、光のにじみやまぶしさを感じることがあります。
オルソケラトロジーは、継続治療によって近視が進みにくくなることを示唆するデータが複数の文献に記載されてきておりますが効果には個人差があります。
オルソケラトロジーの治療中に、近視が進行してレンズを交換する必要が生じるケースがまれにあります。
治療の流れ
1ご予約
お電話にてご予約ください。
2適応検査
オルソケラトロジーレンズについてご説明し、問診で病歴などについて伺います。
適応検査を行います。所要時間は約1時間30分です。
- 屈折検査
- 視力検査(眼鏡・コンタクトレンズを使用している方はご持参ください)
- 眼圧検査
- 角膜形状解析検査(トポグラフィー)
- 細隙灯顕微鏡検査(角膜や結膜、虹彩、水晶体、硝子体、視神経などの異常を確認します)
- 角膜内皮細胞検査
検査結果に問題がなければテストレンズを装用します。
3レンズの注文・処方
オルソケラトロジー治療に適していると判断した場合、患者様に合うオルソケラトロジーレンズを処方し、注文します。レンズの作成には2週間ほどかかります。用意ができ次第、当院へ受け取りにお越しください。
4装着開始
レンズの準備ができましたら、治療を開始します。治療開始後は、必要に応じて定期検査を行います。
※眼疾患などがある場合は、その疾患が完治してからの治療を勧めております。
5定期検診
オルソケラトロジー治療中は、必ず定期検診を受ける必要があります。コンタクトレンズは自覚症状なくトラブルを起こしていることがあります。普通のコンタクトレンズでも起こる合併症は、オルソケラトロジーのレンズでも起こる可能性があります。進行してしまうと深刻な視力障害を起こす合併症もありますので、適切な使用方法を守って必ず定期検診を受け、少しでもおかしいと感じたら早めにご相談ください。
6オルソケラトロジーのケア
オルソケラトロジーは、普通のハードコンタクトレンズと同じようなケアを行います。起床後にオルソケラトロジーレンズを外し、洗浄して市販の洗浄保存液により保存します。
洗浄保存液をうっかり切らしてしまうと治療を1日休むことになってしまいますので、ご注意ください。
よくあるQ&A
度数の制限はありますか?
度数-4.00D位まで、乱視度数-1.50D位までとされていて、基本的には軽度か中等度までの近視が対象になっています。
受診頻度はどのくらいですか?
開始日、1週間後、2週間後、1ヶ月後に行います。 それ以降は3ヶ月に一度の頻度で、定期検査でご来院ください。
オルソケラトロジーのお試し期間はありますか?
当院ではお試しは行っていません。
老眼を治せますか?
老眼をオルソケラトロジーで治すことはできません。
近視を完治できますか?
近視が治るわけではなく、日中は裸眼で過ごせるように矯正する治療です。レンズの装用をやめると角膜の形状も徐々に元へ戻ります。
オルソケラトロジー治療費用
適応検査費(オルソケラトロジーの治療が可能かどうかを確認する検査) | 8,800円 |
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レンズ装用の練習費 | 4,400円 |
初年度の費用 | 132,000円 |
次年度以降の費用 | 33,000円 |
レンズ代(1枚) | 33,000円 |
レンズの保証
- 治療中に医師の判断でレンズデータの変更が必要になった場合:支払日から6ヶ月以内は無料
- 治療開始から破損、汚れなどで交換が必要となった場合:支払日から12ヶ月以内無料
(半分以上を持参、1回のみ)
- 新しくレンズを作成する際も、使用していたレンズは回収いたします。