マイオピンについて
マイオピンは低濃度のアトロピンを含有した点眼液で、小児期の近視進行を軽減させることを目的に使われます。
Singapore National Eye Centre(シンガポール国立眼科センター)の研究によって処方が開発された薬で、安全性が高く、近視の進行を完全に止めるわけではありませんが、2年連続して使用した場合、何もしなかった場合に比べて近視の進行を60%軽減できたというデータが報告されています。
マイオピンの特徴
- 副作用がほとんどありません
- 近視の進行を平均60%軽減させるというデータが報告されています。
- 日中のまぶしさを強く感じることがなく、サングラスは不要です。
- 眼の遠近調節機能(手元を見る作用)には、影響をほとんど与えません。
- 毎日就寝前に1滴点眼するだけです。
- 目薬(1本5ml)は両目1か月分です。
- GMP(医製品特別管理・品質管理基準)に準拠した工場で生産されています。
マイオピン治療の対象となる方
- 近視がある方
- 6~12歳の方
- 3ヶ月に1度の定期通院ができる方
- 必ず就寝前の点眼が継続できる方
治療方法
1日1回(就寝前)の点眼
治療の流れ
1事前検査
マイオピン治療の対象となるかを判断するための診察・検査を行います。
2治療開始
治療内容の説明、注意点などについて詳しくご説明します。マイオピン(0.01%)点眼薬を1本処方します。
3経過観察
1週間後にご来院いただいて治療の経過状況を確認します。
42回目経過観察
1か月後にご来院いただいて診察・検査を行います。点眼薬を3本処方します。
マイオピン(0.025%)点眼薬を希望される方はここで変更となります。
5定期来院
3か月後にご来院いただいて診察・検査を行い、点眼薬を3本処方します。以降は、3か月ごとに定期検査を行います。
マイオピン治療の仕組み
人は遠視で産まれますが、成長するにつれて、網膜上に焦点が合う状態になります。しかし、遺伝やライフスタイルによって、網膜が焦点よりも後ろに伸び、眼軸長が長くなることが発生します。これが近視(軸性近視)です。眼軸長は、一度伸びてしまうと元に戻りません。そのため、いかに眼軸長の伸びを抑制されるかが重要になります。
よくあるQ&A
マイオピンは副作用がありますか?
点眼すると一時的に瞳孔が開くため、まぶしさを感じることはありますが、就寝前に点眼することで朝には瞳孔の状態も元に戻っています。
視力は回復しますか?
近視進行を抑制する治療に使われるものであり、点眼によって視力が上がることはありません。ただし、治療前に仮性近視があった場合には、改善して視力が上がることがあります。
どれくらい続けたらいいですか?
2年以上の継続使用による効果が認められているため、最低2年の使用が推奨されています。近視は成長期の進行が特に早く、20歳前半まで進行しやすい傾向がありますので、できるだけ治療を継続するようお勧めしています。
普段、裸眼ではないのですが治療できますか?
眼鏡やコンタクトレンズとの併用も可能です。ただし、点眼は必ずコンタクトレンズを外した状態で行ってください。さらに、オルソケラトロジーを併用すると近視進行が抑制できるエビデンスがあり、併用可能です。
全身への副作用はありますか?
現在は報告されておらず、他の薬や点眼薬を処方されている場合も問題なく使用できます。